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技術情報ブログ 2014年10月 アーカイブ
なぜ、エクセルで見積書や請求書を作成・管理すると、いずれ大変なことになるのか?
2014/10/16
さまざまな業務シーンで利用されているエクセルやアクセス。特にエクセルは簡単に管理が行えて、金額や数値の集計を行うには大変便利です。エクセルのシート間やファイルごとの集計も、マクロやVBAを利用することで、集計の自動化も可能で、データ管理や集計処理、一覧管理にはとても便利なものです。
しかし、扱う品目や項目が増えてきたり、データ量が多くなってくると、途端に管理するのが大変となってきます。また、どのエクセルファイルに何を記録してあるのかなど、すぐに必要な情報に辿り着くのも難しくなってきます。
さらには、見積管理だけと思って始めたものが請求管理、顧客管理、在庫管理などと業務量や取り扱うデータが広がっていったり、多拠点・多人数の大勢での情報共有となると、機能的制約で問題視されたり、管理できなくなってきたりします。
Excel(エクセル)も一応デジタルなのに、なぜこのような課題が出てくるのでしょうか?
答えは簡単で、Excel/Accessはあくまでも小規模利用を想定したファイルベースのアプリケーションであり、見積管理や顧客管理を行うための専用のツールではないからです。ただ見積管理ができそうなツール(Excel)が目の前にあったから普及しただけです。最初からインストールされていたPCなら新たに費用も発生せず無料ですし、また取っ付き易くて始め易いですから・・・
【Excelの限界点】
- 検索の手間
- データ容量増大による処理速度低下
- マルチユーザー環境での不満、同時に編集ができない
- データ管理が個人に依存しているため、組織で管理できていない
- セキュリティが不安
- 何回もの入力手間とミス
- バックアップの管理コスト
- 他の拠点や外出先では閲覧できない
お客様の名前や見積番号・顧客IDなどの簡単な条件での検索はできますが、「昨年10月ごろ?に見積した○○様の物件で...」などと複雑な検索条件を組み合わせて探すのが難しく、電話がかかってきたタイミングで目視で探したり、チェックしたりと手間が生じます。
ファイルベースであるが故の制限も多くあります。昨今では、データベースで画像やPDF文書のようなバイナリデータを扱うケースも増え、適用業務の拡大とも相まって、データサイズは日々増大する傾向にあります。
PCのスペックにも依存しますが、データサイズが大きくなり2,000件以上の見積管理(見積履歴や接触履歴などを含む)を行うのは、検索や編集時に"画面が止まる"というストレスを感じることもあるでしょう。
また、ファイルベースであるということでは、容量を2ギガバイト以上に拡張することはできません。対象ファイルのデータ容量が拡大すれば、どこかでファイル自体を分割しなければならず、ファイルを分割すれば、当然ファイル管理は煩雑となり、データを更新するにも対象のテーブル/ワークシートが見つからない、あるいはデータ分析を行うにも複数のデータベース/ワークブックからデータを抽出し、再結合するなどの余計な作業を強いられることにもなりかねません。
業務量が増えてくると、一般的にはデータを複数のスタッフで共有したり、スタッフ間でデータ交換を行う必要が出てきます。ところがエクセルの効果的な活用とは、単一スタッフによる集計・加工や、複数スタッフ間での情報閲覧に限定されものです。逆に言えば、複数のスタッフがひとつのエクセルファイルに書き込んだり、変更を加えるような業務活用には不向きです。たとえば同時に電話が鳴った場合など、誰かがエクセルを更新しているときには、その作業が終わるまで待たないといけません。スタッフ全員の待ち時間コストを合算すると組織全体では大きなロスとなります。
見積管理、請求管理、顧客管理などと、スタッフの増加や売上の拡大に伴い作業量は飛躍的に増えていくものです。
また、データが分散するため、同じような情報が点在したり、担当者がいないと何もわからない状況も起こり易いものです。さらには、マクロを駆使し作り込んだエクセルでも企業規模の拡大や使用期間が経てば、限界を感じてしまいます。エクセルはもちろんデータそのもののバージョン管理にも手間がかかります。
個人情報保護法がニュースや雑誌の紙面をにぎわせることが時々ありますが、ファイルコピーによって重要な情報が社外に持ち出されてしまうことが懸念されます。もちろん、適切なファイルセキュリティを設定すれば、ある程度は防げる問題かもしれませんが、データベースをファイル単位で管理している以上、そのセキュリティレべルには限界があります。ついうっかり忘れて全員から丸見えだったり、閲覧・編集など多彩なアクセス権の設定や、「住所」だけ見せたくないなど項目ごとのアクセス権の設定など、難しいものがあります。
各担当者から渡されるデータをエクセルで管理している場合、行のマージ、転記、シートの統合という細々とした作業が発生します。細かな作業を人手に任せると必ずある一定の割合でミスが混ざりこみます。ミスは発生当初ですぐに発見できれば大した問題になりませんが、遅くなると手戻りコストが大きくなります。
また、見積管理で入力したデータを請求管理や顧客管理で使おうとすると、その都度に再度入力しなければならず、二度手間三度手間の入力となりまず。さらにエクセル管理の場合、各担当が持っているデータを集めないといけないので、リアルなデータ反映はどうしても遅くなります。
ファイルベースなので、バックアップ作業はファイル単位で行わなければなりません。これは小規模利用での手軽さという意味ではいいですが、扱うべきデータ容量が増大したり、ファイルが分散した場合に、バックアップに要する工数は幾何級数的に増大していきます。また、バックアップに際しては誰も更新を行っていないことをまず確認してからでないと開始できない、という運用上の手間も発生します。
組織が成長して拠点が増える場合や、営業など事前に社内で確認していたとしても、全てを事前に確認することは難しく、急な予定があれば事前確認できないケースがあります。こういった場合の閲覧はもちろん編集には対応できず、クラウド化対応や専用ビューアなどとひと手間かけた工夫が必要となってきます。
以上のように、情報資産の有効な利活用、さまざまな管理データからの高度な集計や分析、組織内での効果的な情報共有を行いたいなら、そろそろ別な方法の考え時かもしれません。
なお、Postgressなどのデータベースや、Ruby on Railsなどのシステムのオープンソース(無料で利用可能)が普及したことで、システムの開発期間が以前より格段に短く、低価格でシステム開発が可能となってきています。エクセルファイルによる管理に限界や不便を感じましたら、一度、クラウドWEBシステム、オーダーメイド開発の導入を検討してみたら如何でしょうか。思ったよりも、低価格で簡単に導入することができると思います。
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